I Heart NY




わたしがNYという街に魅せられてたまらない理由に、
予期せぬ人との出会いの
ある街だからということがある。

4日間の旅行で4人の見知らぬと人生をシェアし
多くの人に小さな愛をもらう。

人生の物語を見ず知らずの他人に語りたがるというのが
ニューヨーカーななのかもしれない

そんな出会いと物語を書き留めずにはいられない

そしてこの思いが、無数に国がある世界の中で
毎年訪れてしまう街NYの魔法なのであろう




パンプスで足の指が凍てつく新年のNY
とりあえず暖まろうと入ったケバフのレストラン
気だるそうに水とメニューを差し出し、’何にするの?’と
ブロンドの髪をかきあげながら目をやる
少しぶっきらぼうな30くらいの店員の女性

少し胃の調子が変だったわたしは、ホットワインだけを頼む
他の2人のケバフ、わたしのワインが揃った後
突然さっきの女性がピタとポテトサラダを持ってきて
私にさしだす
’よかったら食べて’
まるで家族に話かけるような気取りのない口調で

そして何気なしに、わたし達のテーブルの前の壁によりかかり
’どこから来たの?’と話を始める
私たちの答えには興味をもつ様子もなく
自分の化粧法について語りだす

’わたしはね、ファンデーションを塗らないの。
でもね、マスカラとリップだけつけるのよ。
すごくシンプルなの。それに比べてあなた達は偉いわね。’

ほぼすっぴんだが美人な顔立ちがわかる。
気だるげなブロンド、モヘアの暖かそうなニットが似合う
彼女は少しだけ目をきっらとさせて、自分がNYにでてきた経緯を語る

’すごいのよ。中国人の女の子でね、たしか21か22。
株で相当稼いだみたいで、マンハッタンのタワーマンションに住んでるの。
羨ましい。NYはお金持ちにとって、とても素敵な街だから。
ほんとすごいなって思うのよね。若いのに’

なんて、この間訪ねてきたお客さんの話を続ける。

いつも彼女は今日のようにごく自然に、何気なく、来店した人々と
人生をシェアするのだろう
凍えるような冬の日。
客はわたし達だけの殺風景で、でもなんだか暖かい風景



街の喧噪が騒がしい
真っ昼間のバードルフグッドマンの前から乗ったタクシー
おしゃべり好きそうな黒人の30手前くらいの運転手

待ってましたとばかりに語りだす
’俺にはさ、哲学があるんだよ。
あのな、つまり俺たちは働きすぎちゃいけないんだよ。
嫌いなことを毎日やるっていうのは、
毎日少しづつ死んでいくことと同じなんだよ。
俺は少し働いてお金ができたらすぐバカンスに出かけるんだ
最低一ヶ月な’

Slightly dyingという言葉が反芻する
わたし達が生きるということは、すこしずつ毎日死んでいることと比例する
嫌いなことをしている時間が無の時間だとしたら
わたしたちはその時間生きているともいえないのかもしれない



ワールドトレードセンターから地下鉄でリンカーンセンターまで向かう
切符を買おうとすると、どこからともなく聞こえてくる
マイクロフォンを通った老人の片言の日本語が響く
’おい、そこの日本人達。今通してやるからいけ’
駅員室に目をやると、老人が私たちをみつめている
改札のランプを指差す
’これが青のうち、今のうちに通れ!お前たちは特別だ’
遠慮気味に唇で’ありがとう’をなぞると
得意気に口を片方の唇だけをつりあげ笑顔をつくる彼



チェルシーマーケットのジムに併設しているカフェ
コーヒーをつくる若い店員のお兄さんに
ブルックリンブリッジまでの最短ルートを聞く
わたしのThank youに続けて、
友達がふざけて’I love you’というと、みるみる顔を赤らめる彼

暢気に’さっきの彼かわいかったねー’なんていいながら歩いて
地下鉄の駅を通り過ごす私たちを、心配だったのか彼は追いかけててきて
’こっち、こっち’だよと道の向こう側で叫ぶ
友達のI love youが効いたのか、、、




母国インドの結婚の様式をマンハッタンから空港まで30分間話し続ける
タクシードライバー、エリートの息子と自分の血筋の自慢を夜中してくる同じホテルの滞在者、
夏は毎年ハンプトンズに行くんだよとウィンターバケーションにサマーバケーションの話をするカフェで朝食をとる60くらいの男性

NYは訪れるたびに暖かい出会いがある。














MAHO JULIA TAKAISHI

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